駅で切符を買おうとしていると、挙動不審なおっさんが近づいてこり、もしや盗っ人…!? と怖くなって隣の券売機に移動したのに、おっさんも一緒に横へ移動してきたので意味がなくて、とにかく財布を奪われないようしっかり握りしめていたら「あのー、すみません…」と声をかけられた。
なんだ、切符の買い方がわからなくて聞きたいのかな、と目を合わせたら、「大変申し訳ないんですけどー…、100円めぐんでもらえませんか?」と言われてしまい、えぇー!! と驚いて、思わず隣の券売機にいた見知らぬ男性の方を向き、目が合えば助けを求めたかったのだけど、さすが見知らぬだけあって男性は知らんぷり、わたしはどうしていいかわからず、頭をぺこぺこさげながら目をそむける、という手法を取ってしまった。
しかし、わたしが切符を買い終えた頃には、すでに物乞いのおっさんは2個隣の券売機にいたおばちゃんの近くに移動し、新たに100円をめぐんでもらう交渉に入っていたので、つきまとわれなくて良かった…、と胸をなでおろしたものの、本当はどうすればよかったのかが未だにわからない。
おばちゃんも頭をぺこぺこさげながら遠ざかっていたので、交渉はたぶん失敗していたと思う。わたしは100円をあげれば良かったのだろうか。

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つい1ヶ月くらい前にも、会社帰りにホームセンターの敷地内にあるATMで通帳記入を終えて車に戻ろうと歩いていると、くたびれたスーツを着たサラリーマン風のおっさんに声をかけられた。
おっさんは、すぐ近くのバス亭から出る最終バスが終わってしまったので、駅は近くにないか? と尋ねてきたのだが、そこは最終バスが18時前に終わってしまう程の田舎なので駅は近くになかった。おっさんは、○○駅は歩いていけるか? △△駅だったら歩いていけるか? どっちに行けば駅があるか? 等といろいろ聞いてくるのだが、方向音痴のわたしには、それらの駅が近くにないことしか答えられず、「地元じゃないので詳しくはわからないです、すみません…。ホームセンターのお店の人とかに聞いてもらった方がいいと思います…。」と突き放してしまった。
おっさんは、道路の向かい側にあるコンビニで聞いてみる、と言って去っていったのだが、ちょうどわたしが車で駐車場から出ようとしていたときに、ホームセンター側に戻ってくるおっさんと目が合ってしまい、なんとなく気まずい思いをした。
気まずさの理由は、△△駅がわたしの帰り道の途中にあり、わたしさえその気になれば車に乗せていって駅で降ろしてあげることも可能だったからで、そのときも、終わってからしばらく、どうすれば良かったのかについて考えてしまった。