日本一の地点に立つ

わたしは富士山にのぼって、足がいたくて死にそうになりました。ほんとうに、人間は足のいたみだけで死にうるんじゃないかしら。

5合目からの富士山は岩しかなくて、景色といえば星でした。生まれてはじめて流れ星をみました。わずか数時間の間に、ながれぼしは3回もわたしの目前にあらわれたのでした。ご来光は8合目で迎えました。雲が月の形になったり富士山のかたちになったり、姿を変えながら朝日がのぼるのをまちわびていたように思います。6合目についたとき、たった1合しかすすんでいないのにくたくたで、でもそれが余計に到着のよろこびを増長させた気がします。だからその後の、今いるところは「新6合目」でこれから「本6合目」にむかうと聞いた瞬間の絶望は、もはや言葉にすることはできないのです。6合目も7合目も8合目も2つずつあって、その上は0.5合きざみになるなんて、一体どうして想像できましょう。

わたしは7合目をすぎたあたりから前にすすむことが困難になりました。一緒にいった人たちが荷物を持ってくれたり、足をマッサージしてくれました。9合目でそれらを思って涙がでました。富士山ではゆきかう人々が挨拶をかわします。山の厳しさの前では人のあたたかさが身にしみます。帰ってからは探偵ナイトスクープの空手30枚板割りを見て泣きました。