姑獲鳥の夏 京極夏彦

ISBN:4062638878
これはミステリーとしてじゃなく「心」と「脳」の話がおもしろいんじゃないでしょうか。京極夏彦先生の本はこの一冊しか読んでいないので憶測ですが、『姑獲鳥の夏』はどうにも、手段としてのミステリーな気がします。だからミステリーとしてはこれで良くて、「心」と「脳」の話を多くの人に伝えることができた、という点によってこの手法はもはや成立しているといわざるを得ないんじゃないでしょうか。つまり「伝えたいことをどう形にするか」という選択肢の問題については、例えわたしが京極堂先生の話だけをずっと聞いていたいと思ったとしても、ミステリーという手段を経てそれを知ったからには方法を否定する術は持たないんですよ。
わたしは「心」と「脳」のページには付箋を貼ればいい、選択肢の問題です。